その昔、薄幸の女が首を縊(くく)った忌まわしい屋敷、旧法眼邸。
明治から戦前まで隆盛を極め、“病院坂”という地名にまでなった大病院の屋敷跡である。
本條写真館の息子直吉は、ある夜その屋敷で、奇妙な結婚式の記念写真を撮らされた。
今は住む人も居ない廃屋で、毛むくじゃらの大男と、か細い色白の花嫁の不思議な組合わせは、何か不吉なものを暗示しているようだった。
そして数日後、再び撮影の依頼でその屋敷へ出向いた直吉は、腰を抜かさんばかりに驚いた。
そこには、鮮血を滴らせ風鈴のように天井からぶら下がった、凄まじい形相の男の生首が・・・・・・。
名探偵金田一耕助が二十余年の歳月を費して解決し、その後、姿を消した最後の事件。
巨匠横溝正史執念の大作!
(カバーより引用)
02 病院坂の首縊りの家
(装丁・杉本一文)
(一覧へ)
【収録作品】

病院坂の首縊り(くびくくり)の家

あとがき