武蔵野の名残りを留めるG町の裏坂辺り。
夜も更けて人気の絶えたこの道を、一人の警官が巡廻していた。
彼が丁度、酒場「黒猫」の前にさしかかった時、中から、ざくっ、ざくっという異様な物音が聞こえてきた。
木戸の隙間から覗き込むと、和服姿の男が懸命に穴を掘っている。
突然、男が悲鳴を上げて穴から飛びのいた。
慌てて中に踏み込んだ警官は、穴の中にとんでもないものを発見した。
そこには、半分土におおわれた女の屍体が・・・・・・。
本格推理の大命題『顔のない屍体』に挑戦した著者の代表的傑作。
他に「本陣殺人事件」「車井戸はなぜ軋る」を併録。
(カバーより引用)


昭和五十三年五月三十日三十一版発行。


(注1) 1978年9月「横溝正史シリーズU」黒猫亭事件のテレビ放送にともなってカバー絵を一新した。
    表題も「黒猫亭事件・本陣殺人事件」と改められた。
    一新されたカバーは、1978年5月発行の31版のみ

(注2)奥付・本文は、「本陣殺人事件」のまま。
【収録作品】

本陣殺人事件
車井戸はなぜ軋る
黒猫亭事件
008 黒猫亭事件・本陣殺人事件
(カバー・杉本一文)
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